親の様子に違和感があっても、「まだ介護認定を受けていない」「どこへ相談すればよいか分からない」と迷う方は少なくないと思います。私も、認知症の両親の介護と施設探しを進めるなかで、最初に頼ったのが地域包括支援センターでした。
※本記事は筆者の家族の実体験をもとにしています。支援内容や手続きは、地域・時期・本人の状態によって異なります。個別の対応は、お住まいの自治体や担当の地域包括支援センターへご確認ください。
結論|小さな違和感の段階でも相談してよかった
私が強く感じたのは、状況が深刻になってから一人で動くより、親の生活に小さな違和感を覚えた段階で地域包括支援センターへ相談した方がよいということです。
わが家では、担当者が状況を整理し、介護サービスや施設探しの手配を進めてくれました。仕事と介護の両立で余裕がない時期に、相談先と進む方向が決まったことは大きな支えでした。
地域包括支援センターとは
厚生労働省によると、地域包括支援センターは、高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防に必要な援助、地域の支援体制づくりなどを担う機関です。市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員などの専門職が配置されています。
介護認定を受けた後だけの窓口ではありません。家族が「もしかして認知症では」「生活を続けられるだろうか」と感じた段階でも相談先になります。
相談につながったきっかけ
私が最初に異変に気づいたわけではありません。母の変化に気づいてくれたのは、普段から母と交流のあった友人でした。
母の友人は、会話をするなかで「以前と少し様子が違う」と感じ、母を地域包括支援センターへ連れて行ってくれました。そこで家庭の状況についても相談し、今後は両親の生活環境を整える必要が生じる可能性があると助言を受けたそうです。
その後、母の友人から私へ連絡があり、私自身も地域包括支援センターへ相談しました。改めて母と一緒に訪問し、担当者と今後の進め方を話し合いました。
相談の結果、家庭の手続きと並行して両親の介護認定を受け、介護サービスを利用しながら特養へ入居できる時期を探っていく方針が決まりました。身近な人が小さな変化に気づき、早い段階で支援先につないでくれたことが、その後の介護と施設探しを進めるきっかけになりました。
相談した当時に困っていたこと
施設探しを始めた当時、母は要支援1で、その後要介護3になりました。父は要介護3でした。母には、次のような生活上の変化が見られました。
- ティッシュやトイレットペーパーなど、同じ物を大量に買い込む
- 看護小規模多機能型施設の通いから帰宅した直後に、また外出しようとする
- 一人で入浴することが難しい
加えて、家庭の事情から限られた期間内に両親の生活場所を確保する必要がありました。私は仕事を続けながら介護しており、勤務中に連絡を受けたり、途中で仕事を抜けたりすることもありました。
相談時に伝えたこと
地域包括支援センターには、状況をできるだけ具体的に伝えました。
- 両親とも介護が必要なこと
- 限られた期間内に入居先を探す必要があること
- 本人たちに馴染みのある地域を希望していること
- できるだけ早く入居できる施設を探したいこと
- 仕事と介護の両立が難しくなっていること
- 両親それぞれの年金の範囲で支払える施設を希望していること
「何に困っているか」だけでなく、期限、希望地域、費用、本人の状態、家族が対応できる範囲を伝えると、必要な支援を整理してもらいやすくなります。
実際に進めてもらえたこと
担当者は、実家に近く、本人たちに馴染みのある地域を中心に特養を探してくれました。候補は3施設ほどで、その中から最も早く入居できる施設へ申し込みを進めました。
母の入居先が先に決まり、その後、父の入居先が決まりました。両親は別々の特養へ入居しています。期限があったため、同じ施設にこだわらず、まず安全に生活できる場所を確保する方針でした。
看護小規模多機能型施設を利用した期間
地域包括支援センターの担当者には、両親の介護認定に必要な手続きや段取りも支援してもらいました。さらに、母が利用できる看護小規模多機能型施設を紹介してもらいました。
母は基本的に日中の「通い」を利用し、私の仕事で帰宅が遅くなる日は「宿泊」も組み合わせました。この支援を利用しながら両親の生活を支え、特養へ入居できる時期を探っていきました。
父も同じ施設の支援対象でしたが、両親が一緒に過ごすと口論になる可能性があったため、父は通いを利用しませんでした。施設の担当者から地域包括支援センターの担当者を介して、母の送迎で自宅を訪れた際に父の様子も確認し、普段と異なることがあれば私へ連絡する方法を提案してもらいました。
それ以前に、父が通いを利用している母を探して一人で外へ出てしまい、転倒してけがをしたことが一度ありました。父を一人にすることへ不安を感じていた時期だったため、この提案はとてもありがたいものでした。
見守り体制が整ってからは、父が一人で外出してけがをするような出来事はありませんでした。母の送迎時に父の様子も確認してもらえることで私の精神的な負担が軽くなり、仕事にも以前より安心して集中できるようになりました。
決まったサービスを一律に利用するのではなく、本人同士の関係やそれぞれの状態に合わせて支援方法を調整してもらえたことが、大きな助けになりました。
相談前に整理しておくとよいチェックリスト
- 本人の要介護度や認知症の状態
- 現在の生活で困っていること
- いつまでに支援や入居が必要か
- 希望する地域
- 年金・収入の範囲と家族が負担できる金額
- 仕事や家族介護の状況
- 本人が大切にしている生活習慣
すべて分かっていなくても相談できます。分からない項目も含めて伝え、何を確認すべきか一緒に整理してもらうことが大切です。
一人で抱えないために
介護が始まると、本人のこと、仕事、費用、手続きなど複数の問題が同時に起きます。私の場合、職場の上司や同僚へ事情を伝え、電話対応や急な休み、勤務途中で抜ける場合に配慮してもらいました。
地域包括支援センターへの相談に加え、親族、友人、同僚、上司など、信頼できる人へ状況を伝えて孤立しないことも重要です。
まとめ|迷った段階で相談してよい
地域包括支援センターは、問題が深刻になった後だけに利用する窓口ではありません。親の買い物、入浴、外出、金銭管理などに小さな変化を感じた段階でも相談できます。
わが家では、相談したことで介護サービスと施設探しが具体的に動き始めました。何から始めればよいか分からない場合は、まず住んでいる地域を担当する地域包括支援センターを自治体の公式サイトなどで確認してみてください。
施設探しの詳しい流れは、認知症の両親の特養を3か月で探した実体験でまとめています。家族のお金の手続きについては、認知症で親の預金が動かせなくなる前に確認したいこともあわせてご覧ください。
参考情報
確認日:2026年10月11日。制度や窓口の運用は変更される場合があります。最新情報はお住まいの自治体および地域包括支援センターへご確認ください。

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